てらまちフォト一覧

安房の古刹 西行の寺

那古船形の崖観音に拝することができず、港に向かって歩いていたら、小さなお堂と墓地が道沿いにありました。「西行寺境外仏堂 芝堂」と門柱に記されています。敷地は広くはありませんが、墓石や石像はかなり古そうな様子。館山市のサイト「南房総花海街道」によると、西行寺は西行法師縁の寺で、この芝堂にも安永年間の供養塔があるようです。このあたりにあるお寺はいずれも開創が早く、崖観音の大福寺と那古寺は717年(養老元)、西行寺は996年(長徳2)とのこと。房総地域は海に突き出ている分、開けるのが早かったのでしょう。今では小さな漁港でも、歴史がぎっしり詰まっていそうです。

安房の古刹 西行の寺

2015年8月28日公開  2015年08月22日撮影

縁むすび風鈴 川越氷川神社

8月初旬、河越夜戦の地・東明寺を後にし自転車で走っていると、生垣の中に人が吸い込まれるように入っていく場所が。入口には色とりどりの風鈴。そこは、縁結びで人気を博している川越氷川神社でした。境内の小石を縁結びの御守りとして頒布しているのは、NHKニュースの中継で見たことがあります。1日20体のみ、夕方なので当然この日の分は終わっていました。夏休みとはいえ平日の午後、浴衣姿の若い女性たちやカップルが境内にあふれています。人員整理をしているスタッフさんに訊ねると、8月いっぱい風鈴を飾っているけれど、そのほかに縁日やお祭りがあるわけでなく、いつもどおりの人出なのだとか。出雲大社の縁結びのご利益も江戸時代に御師によって広められたということを知ったばかり。ご利益は家内安全、商売繁盛、学業成就など、各神社仏閣などで謳われていますが、「縁結び」の人気には驚かされます。

縁むすび風鈴 川越氷川神社

2015年8月27日公開  2015年08月11日撮影

バス待ち、秋待ち、寺のまち

秋霖 ― しゅうりん ― 秋のはじめに降り続く雨にはこんな名前がついています。いつまで暑いの? いつまで降るの? と、人間とは勝手なものですね。そんなふうにあまりに暑い日が続いた今年、てらさんぽの強い味方!と気づいたのが、区などによるコミュニティバスです。エリアは限定的ですが、鉄道や地下鉄の駅からは不便なところへも路線があったりします。写真は浅草にある霊梅寺の本堂。このお寺の目の前に、台東区の循環バス「めぐりん」のバス停があります。複数あるめぐりんのコースのうち特にオススメなのは谷中と浅草とを、上野を要に8の字に結ぶ東西めぐりん。ふたつの寺町を結び、かつ停留所が多い!疲れたらバスに乗るとか、混雑する上野近辺をスルーして他のエリアへ行くなど、使い方次第でまちあるきの愉しみを増幅させてくれると思いますよ。

バス待ち、秋待ち、寺のまち

2015年8月26日公開  2015年08月16日撮影

ピースサインの羅漢さん

千葉鋸山の日本寺には、五百、いえ、千五百羅漢が! 大野甚五郎英令という木更津の名工が、安永8年(1779)から完成10年(1798)の21年間をかけて刻んだ1553体の石仏。寺域の斜面に縦横に走る道に面し、風蝕された岩の崖面に分散して置かれています。百躰観音としてまとまっているところもあれば、崖の上のほうにぽつねんと一体だけあるところも。一体一体は小振りなものが多いのですが、何せ1500体を超えるのですから、見飽きません。江戸中期の比較的穏やかな時代の作だからでしょうか、全体ににこやかな表情のものが多いように感じます。その中の一体、パッと見、笑顔でピースサインを出しているように見えませんか。

ピースサインの羅漢さん

2015年8月25日公開  2015年08月22日撮影

鋸山 開創1300年の 日本寺

千葉内房の鋸山の南斜面を寺域とする日本寺。JR浜金谷駅から徒歩約10分ほど、鋸山ロープウェーで山頂駅まで行けばすぐにお寺があるものと思っていたら、写真の大仏広場まで行くのに、1時間近くかかりました。ロープウェーは足がすくむような急傾斜、寺域に入ってからは石段の上り下りの連続。鬱蒼と繁る木々が陽射しを遮ってくれましたが、道々に配された千五百羅漢さんを拝見しようとしても汗が目に入ります。ようやくたどりついた大仏さま、再興されたのが昭和44年とのこと。お寺の開創が神亀2年(725)ですから、その歴史からするとかなりお若い。しかし、大きさだけでなく威厳のあるご尊顔を拝し、また山頂駅まで登りました。もう少し涼しい時期だと、境内を楽しめるかもしれません。

鋸山 開創1300年の 日本寺

2015年8月24日公開  2015年08月22日撮影

【修復中】崖の観音 大福寺

あれこれ気になっていたお寺がいくつかあったので、青春18きっぷを使って千葉は内房へ行ってきました。早朝都内を出発、8時半ごろに那古船形駅を降り、まずは「崖観音」―磨崖仏の観音様を目指し、歩くこと15分ほど。見えてきたのは……崖に組まれた足場とネット! 下調べが甘かった。今年の1月から来年の6月まで、阿弥陀堂の修復中でした。これはこれで、来年またおいで、ということだろうと受け止め、港のほうへ向かいました。途中、振り返ってみると、家並みの上に足場のネットが見えました。切り立つ崖に観音様を彫ったのは、その麓のまちや、海の上から拝むことができるようにするためだったのでしょうか。

崖観音 大福寺 ホームページ

【修復中】崖の観音 大福寺

公開  2015年08月22日撮影

河越夜戦跡の寺猫

サイクルシェアリングを利用し、線路と新河岸川に囲まれた川越市街地のお寺を巡りました。1回40分以内でポートへ返してまた借りる、を繰り返せば、1日200円で利用できます。西武新宿線本川越駅より北の観光資源が多いエリアにはポートも多いので、うまく使えば市街地エリアをラクに見て回れそうです。観光客でにぎわう町並みからすこし離れた市街地の北端、落ち着いた雰囲気が漂う中に東明寺があります。ここは小田原北条氏と上杉氏が戦った「河越夜戦」(天文十五年:1546)の古跡と伝わる場所。蝉時雨が賑やかななか、境内には猫が数匹。山門でどーんと構えて昼寝していたのが猫住職か門番だとすると、こちらは小僧さんでしょうか。塀を歩き、木に登り、実に自由に振る舞っていました。カメラにもフレンドリーに突進してきてくれた、なかなかの美猫でした。

河越夜戦跡の寺猫

2015年8月22日公開  2015年08月11日撮影

羅漢さんと夏休み

お盆直前の川越喜多院、お目当ての五百羅漢を拝見。塀や木々に囲まれたエリアにまとまっている五百羅漢、一体一体は小ぶりですが、全部で583体あるとのことで、見応えがあります。それぞれ表情豊かで、基本的には朗らかなお顔が多いように感じます。一体ずつだけでなく、隣りあった複数の尊像が会話しているように見えたり、動物(十二支あるとか)を抱えていたり。多くの羅漢さんが木洩れ日のもとで微笑んでいる片隅で、小学生が二人、写生をしていました。夏休みの宿題なのでしょうか。ひとりは画用紙の中心を上にし、ぐるりと回るように羅漢を並べる構図に取り組んでいます。もうひとりは羅漢の表情の捉え方、線に味があります。子どもたちの熱心な表情、似た顔つきが五百体の中にきっとあるのではないかと、ぐるぐると羅漢さんたちの顔を眺め回りました。

羅漢さんと夏休み

2015年8月21日公開  2015年08月11日撮影

川越喜多院 夏の庭

小江戸川越は喜多院。客殿と書院に囲まれた庭園は「遠州流東好み枯山水書院式平庭」とのこと。配された木々にはそれぞれ意味があるようです。大きなサルスベリの下に咲いていたのは色鮮やかなノウゼンカズラ。漢字では「凌霄花」と書くようです。青空とピンク、オレンジのコントラストをカメラに収めようとしていたら、黒い揚羽蝶が蜜を吸いにひらひらと。「凌霄花」は夏の季語。立秋を迎えたというのに、汗だくで夏の花を眺めていました。

川越喜多院 夏の庭

2015年8月19日公開  2015年08月10日撮影

美濃の正倉院 飛鳥川の蜻蛉

紅葉の名所でもある横蔵寺は、二十二体もの国の重要文化財が安置され、「美濃の正倉院」とも呼ばれるとか。伝教大師最澄が自作の薬師如来を祀ったと伝わる古刹です。瑠璃殿に居並ぶ仏像の数々にご挨拶申し上げ、舎利殿で妙心上人の舎利仏(ミイラ)にお目にかかると、小一時間。養老鉄道の揖斐駅へ行くバスを待つ間、境内を流れる飛鳥川に降りてみました。すると、数メートル向こうの石の上に葉っぱ? 枝……? いえ、トンボです。褐色の羽根、青銅色の腹部。あとで調べて、ミヤマカワトンボの雄だとわかりました。人が口にしても大丈夫だろうと思えるほどの澄んだ水、その水が石に当たりながら流れる音、上空を覆い強い日差しを遮ってくれる木々。そこにじっと佇む蜻蛉。ひととき、涼を感じて、山をあとにしました。

美濃の正倉院 飛鳥川の蜻蛉

2015年8月18日公開  2015年08月05日撮影

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