まち×さんぽ 〜札所や名物、季節など「てらまち」ならではをあるきませんか?〜

2018年の向源をあるく|正覚寺

2018.05.18

タグ

お寺イベント

イベント

声明

体験

向源

寺社フェス

超宗派

坐禅

寺フェス

仏教イベント

唱題行

向源2018が終わりました。毎年開催の度にカタチが変わっていく寺社フェス向源、今年は4月末幕張メッセでの「ニコニコ超会議2018」と、5月4日~6日目黒4か寺での「東京向源」の二段構え。テーマは「アイデンティティ」。「己の源に向かう」という、向源の根本に迫るテーマです。

お寺に行くことやお寺で行われることに注目しているてら×まち×さんぽは、5日の正覚寺と、6日の目黒3か寺ツアーに参加しました。

まずは、5月5日こどもの日。10時スタートのコンテンツに向け、中目黒駅から正覚寺へ。有料コンテンツのチケットがないと入場できなかった昨年とは異なり、境内入場はフリーだったせいか、全体の雰囲気もオープンな気がします。

20180505_向源_正覚寺門

まずは、10時スタートの「アイデンティティ(聞く編:トークショー/実践編:仏教プラクティス)」から。
臨済宗細川晋輔師、曹洞宗吉村昇洋師、日蓮宗谷川寛敬師の3人が約80分のほどトーク、その後、臨済宗の坐禅、日蓮宗の唱題行、曹洞宗の坐禅を体験するという内容です。トークのテーマはもちろん「アイデンティティ」。お三方それぞれの「アイデンティティ」についての考えや、そこから派生する自我や対人関係の問題、仏性など、広がりつつもディープな内容でした。体験の後もまとめとしてお三方の感想等、短いクロストークがありました。禅宗の細川師や吉村師からすると、日蓮宗の行は未知の興味深いものだったようで、その道具や作法などについて質問されていました。

20180505_向源_プラクティス

10時開始の充実のトークと体験が終わったのは13時すぎ。夕方16時からの声明公演までは会場内を歩き回ることにしました。プラクティスの会場だった実相会館を出ると、本堂に向かう行列ができています。小松美羽さんのライブペインティング後、サイン待ちの方々だったようです。サイン会は小松さんの著書へだったようですが、整理券配布でなんと4時間にも及んだのだとか!

20180505_向源_境内2

たちばなホールの前では、仏像彫刻・修復師の小塚友彦さんが「ニコニコ超会議」の向源ブースで彫った金剛力士像を展示。彫り出されたばかりの頭部に触らせていただきました。

20180505_向源_仏頭

20180505_向源_仏頭

おや、その着物姿は「ホトカミ」の吉田さんですね?!

たちばなホールに入ると、そのセンターにドドーンと3D浄土双六が!

20180505_向源_双六

これは深川陽岳寺の向井副住職が江戸期の「浄土双六」を立体化し、ボードゲームとしてご家庭などで遊べるよう、クラウドファンディングを利用して製品化しようという取り組みの、その途中経過。もちろん、製品としてはコンパクト化していくわけですが、なんだか凄みを感じます。通りがかりの方々も「なにこれ~!」という感じで眺め、「南・無・諸・仏・分・身」のサイコロをセンターの須弥山ダイスタワーに放り込んでいきます。地獄マンションとか、修行の階梯とか、ほとけの顔出し(ニシユキテン作)とか、ワークショップで出た様々なアイデアがちりばめられています。

20180505_向源_双六

ものすごく大きな風呂敷が広がってしまっているようですが、夏(お盆前後・・・?)には、製品化される予定?!

その奥にはニシユキテンさんの2D仏像顔出し看板まつりコーナーがあったのですが、ニシさんとの再会に歓喜し、昨年から飛躍的に拡充された展示(体験)に圧倒され、なんと!写真を撮り忘れるという(笑)そんな訳で、ニシユキテンさんのコーナーについては、「モジモジ日記」でどうぞ!

同じくたちばな会館では、日蓮宗の草野妙敬さんが「ロータスカード」を展示、販売されていました。

IMG_2841

20180505_向源_ロータスカード

このロータスカードがどんなものであるかの説明は、こちらの販売サイトにわかりやすく掲載されています。草野さんが句を選び、絵の原案を作り、画家の「ひろん」さんが美しい絵を起こしています。オラクルカードのように、裏返して1枚引いて解説書を見て…という使い方はもちろんですが、とにかく絵が美しいので、その日の気分に合うカードをデスクに飾る、なんていう使い方もよさそうです。気になった句があれば、解説書を手がかりにして読み解き、さらに興味が深まれば、法華経へ…。

向井さんの3D浄土双六といい、草野さんのロータスカードといい、日々の暮らしや遊びの中でお釈迦さまの教えの一端にふれることができるツールは、素敵な取り組みだなと思います。

このほかにも、お坊さんと話そう/牧師さんと話そうコーナーや、江戸文字・勘亭流を書くプチワークショップ、塗香やうでわ念珠づくりなど、短い時間で日本文化や仏教文化を体験できるコーナーがありました。

そうこうしているうちに、声明公演の時間が近づいてきました。声明公演は、向源でもっとも楽しみにしているコンテンツ。今回も昨年同様、正覚寺の本堂での開催でした。

まずは、日蓮宗による迫力の木剣加持。

20180505_向源_声明

今回は目の前で!

20180505_向源_声明

続いて歌うような天台声明。

20180505_向源_声明

最後は真言宗の法楽太鼓。

20180505_向源_声明

公演の構成は昨年と同じ(昨年までの向源声明公演まとめ)。とはいえ、堂内での位置で印象がずいぶんと違いました。今回は外陣の前のほうでしたので、出仕されている僧侶の皆さんのお顔がよく見え、また、太鼓の塚越秀成師を真横から拝見できるというポジションでした。塚越師が撥を振るいながら、お経を唱える声も聞こえてきました。日蓮宗寺院の本堂で、天台宗、真言宗と、超宗派の声明公演、これは向源でしかできない体験です。

20180505_正覚寺

東京向源2018、1日目は正覚寺の境内をうろうろ歩き回ることで終わりました。しかし、しっかりと集中し、ワイワイ楽しみ、うっとり浸る、ギュギュッと濃密な時間でした。