興津の清見寺だ。そこには古い本堂の横手に丁度人体をこころもち小さくした程の大きさを見せた青苔の蒸した五百羅漢の石像があった。起ったり坐ったりして居る人の形は生きて物言ふごとくにも見える。(中略)五百もある古い羅漢の中には、女性の相貌を偲ばせるやうなものもあった。磯子、涼子、それから勝子の面影をすら見つけた。
「桜の実の熟する時」島崎藤村、大正8年(1919)
東海道興津宿にある古刹清見寺には、江戸時代中期に彫像された五百羅漢石像があり、島崎藤村の小説の最後の場面にも登場しています。
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