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神仏習合を体感する「ふたとこ参り」

2019.12.05

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ふたとこ参り

仏像

八幡宮

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徳川吉宗

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特別御朱印

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群馬県

高崎市

ふたとこ参りって、何?

12月1日から6日まで、群馬県高崎市の八幡八幡宮(やわたはちまんぐう)と大聖護国寺(だいしょうごこくじ)で、「ふたとこ参り」というイベントが開かれています。

イベントのちらしには、以下のように記されています。

「八幡八幡宮と大聖護国寺は、明治維新の神仏分離令により、別々の信仰対象となりましたが、それまでは、鎌倉時代からの650年にわたり歩調を合わせて、共に地域の信仰の拠り所となっておりました。150年の時を経て、再び地域の皆様にとって、信仰の中心地となるように「ふたとこ参り」として、社寺共存の信仰を目指していくことを目的としております。」

神社とお寺は歴史的経緯から、現在も隣り合って存在するところが多くあります。隣接する八幡八幡宮と大聖護国寺も一体として、江戸時代以前は当地における信仰の拠り所であったことは想像に難くありません。神仏分離令を150年前の明治初年とすると、1216年に大聖護国寺創建されて以降約800年のうち、約650年は神仏習合による信仰が根付いていたわけです。

令和の世を迎えた今年、このふたつの社寺が再び歩調を合わせ神仏習合の時代に立ち返りつつ、新たな祈りのかたち、地域にとっての拠り所としての在り方を探ろうと、「ふたとこ参り」が企画されました。

ふたとこ参り その1|花と書と音

当初は1日限りのイベント企画が発端だったのが、地域の方々の盛り上がりもあり、6日間連続の大きなイベントとなったのだそうです。

まず、初日に行われた特別イベントがこちら↓

ふたとこ参りちらし_ライブ

 20191205_ふたとこ本堂いけばな

てら×まち×さんぽが伺った3日には、本堂にそのパフォーマンスの成果が。

また、社寺の各所にいけばなが展示されていました。

20191203_ふたとこ参り_神楽殿

八幡宮神楽殿

20191203_ふたとこ参り_拝殿いけばな展示2

八幡宮拝殿

20191203_ふたとこ参り_本堂内陣

大聖護国寺 本堂

20191203_ふたとこ参り_客殿いけばな

大聖護国寺 客殿

20191203_ふたとこ参り_書院いけばな

大聖護国寺 書院

ふたとこ参り その2|ふたとこ講座

このイベントの確かさ、価値は、この講座にあると思います。

ふたとこ参りちらし_講座

なぜ「ふたとこ参り」を開いたのか、地域にとっての八幡八幡宮・大聖護国寺の存在とは、そして神仏習合・神仏混交の姿とは…。そのような信仰や祈りの場について理解を深め、令和の今、どうあるべきかを考えるきっかけとなる講座です。てら×まち×さんぽは3日の第3回講座に参加しました。五大将軍綱吉は生類憐みの令で知られますが、その解釈が見直されてきていること、また、吉宗の施策の背景に仏教―真義真言宗の思想がある、といった内容でした。本筋の話も興味深いのですが、吉宗の母桂昌院の生い立ちや、吉宗の将軍職就任に至る経緯なども非常に面白く伺いました。

この桂昌院を主人公とした漫画「めでたく候」が、デジタルマーガレットで連載中。大聖護国寺の飯塚住職は、この漫画の監修メンバーの一人となっています。無料で読めますので、桂昌院―お玉さまの生涯を漫画で味わってみてください。

medetaku

ふたとこ参り その3|特別展示|本地仏阿弥陀如来展示

ふたとこ参りちらし_阿弥陀

仏像なのに八幡宮で展示?
つまりこれが神仏混交の時代が確かにあったことの証し。

八幡宮の境内にある「天満宮」は、もとは阿弥陀堂。ここに収められていた阿弥陀様が現在は府中市上染屋八幡宮にあり、そのレプリカが今回“里帰り”して八幡宮の会館で展示されているのです。

20191203_ふたとこ参り_天満宮

20191203_ふたとこ参り_阿弥陀如来立像

ふたとこ参り その4|仏像制作・修復及び菊池侊藍小品展

 

ふたとこ参りちらし_仏像

11月25日の上毛新聞に、こんな記事が掲載されました。

大聖護国寺の不動明王 綱吉の母、桂昌院の寄進と判明
群馬県高崎市八幡町の大聖護国寺(だいしょうごこくじ)の本尊不動明王を含む「五大明王(ごだいみょうおう)」が、5代将軍徳川綱吉の母、桂昌院(けいしょういん)が寄進したとみられることが明らかになった。これまで記録がなく由来は不明だったが、修復の際、仏像内部の空洞に、桂昌院が寄進したことを示す墨書が見つかった。修復済みの本尊と、桂昌院が寄進したと伝わる「三十六童子(どうじ)」の一部が12月1~6日、同寺で公開される。飯塚秀誉(しゅうよ)住職(53)は「地域の人に歴史を知ってもらう機会にしたい」と話している。(続きはリンクへ)https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/175744

この修復に携わる関侊雲仏所のスタッフが、イベント期間中実演をしています。

大物の雙龍図を彫っているのは木彫刻師・仏画師の菊池侊藍さん。

20191203_ふたとこ参り_菊池侊藍

その他のスタッフも、富山の工房から出張、細かな作業を実演しています。

20191203_ふたとこ参り_修復手許

桂昌院寄進の三十六童子など、修復経過の展示もあります。事後の経過写真などは見ることはあっても、順を追って、しかも現物での展示はあまり例がないのではないでしょうか。

20191203_ふたとこ参り_仏像修復

今年6月に落慶した大聖護国寺の阿弥陀堂には、侊藍さんの天井画が掲げられています。

20191203_ふたとこ参り_阿弥陀堂天井画

ふたとこ参り その5|お抹茶でホッとひといき

 たくさんの展示、コンテンツがあって、結構長居してしまいます。少し休みたいな、という方のために、お茶処が用意されています。お抹茶とお菓子ですが、抹茶ラテもあるということで、てら×まち×さんぽはラテのほうをいただきました。ミルクの甘さと抹茶の濃い旨味が素晴らしい一服でした。

DSCN6382

IMG_0080

 

ふたとこ参り その6|ふたとこ御朱印

今回のイベント限定で「ふたとこ御朱印」が授与されています。御朱印の龍のデザインは侊藍さん。右に大聖護国寺、左に八幡八幡宮と、二面にわたる絵柄でダイナミックながら繊細な御朱印です。

20191203_ふたとこ参り_御朱印

これはまだお寺のほうだけいただいた状態。(後程全体をアップしますね)

大聖護国寺は現住職が復興を進めている最中で、建物は新築も含め、新しいものが多いのですが、八幡宮のほうは拝殿・本殿をはじめ、建物のつくりが素晴らしく、ひとつひとつ見ていくのも楽しいのです。(マップのピンをクリックすると、写真が表示されます)

冒頭に記したように、お寺と神社はセットで立地していることも多く、お寺めぐりをメインに据えているてら×まち×さんぽですが、神社へもお参りしています。建築年代などにもよりますが、神社と寺院とで、建築様式が異なったり、向きが違ったり、何か共通項を探したりと、寺社参拝を楽しんでいます。しかし、今回のイベントのように、寺社の相互交流や、合同の御朱印発行などは聞いたことがありませんでした。

今回の「ふたとこ参り」が実現したのは、神社と寺院との協力はもちろんですが、氏子さんや総代さんなど、直接寺社と関係のある方々に加え、地元の八幡地域の住民の方々の力も大きかったと聞いています。この機運がこの6日間だけでなく、地域を盛り上げていく力に結びついていってほしいと、期待してしまいます。

イベントは残り1日、間に合う方はぜひ、ふたとこ参りしてみてくださいね。

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