「まいまいず井戸」―暗号のような、方言のような、不思議な響きを持つ井戸は、「螺井」(まいまいず)と表記します。「まいまい」はかたつむりのことで、螺旋状に下る通路の下に井戸があります。構造や記録等から、実際には鎌倉時代のものと推定されているようですが、大同年間(806~810)の創始という伝説もあるとか。井戸は地表から円筒形に掘りこむのが一般的ですが、地層や土質の都合と、当時の技術から、こういう形になったのでしょう。とりまく通路を降りていくと、あるポイントで突然周囲の音が聞こえなくなり、隔絶されたような雰囲気。神聖な場所から命の水をいただき、またぐるりと登って還俗していくイメージ。集落、村にとって大事な水源だったはずですから、聖地のように護られてきたのでしょう。まいまいず井戸は羽村駅からすぐのところにあり、10分ほど歩くと玉川上水の取水堰があり、雨乞い街道があり、水田があり、睡蓮があり……羽村は、水と密接なつながりのあるまちでした。
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