禅語 ― 名月清風

2015年11月26日公開

2015年11月20日撮影

禅語 ― 名月清風

誰が家にか 名月清風 無からん 『碧巌録』―― 名月清風とは、秋の名月と心地よい爽やかな風。その名月清風が、どの家にも差別無く平等に、「秋」の訪れを知らせてくれる。その「名月清風」を借りて、 くもりも汚れもない純真清明の心境、すなわち煩悩妄想を払拭した無我・無心の境地に喩えたもの。仏心・仏性とも云う。一般的にその自己が、万人に等しく本 来具わっている事を表現した言葉だ。(祝言寺掲示より)

松が谷の祝言寺門前に、ご住職のお手によると思われる書が掲げられていました。「誰家無明月清風」となると七言の漢詩の一部のようですが、『碧巌録』という北宋時代の書に納められた禅語です。山茶花が彩りを添える境内に、思案するような僧形の石像が置かれていました。その穏やかな面持ちを見つめていたら、自らの内にある仏性を問われたような気がしました。