カフェや雑貨店など、すっかりおしゃれタウンぶりが定着した清澄白河ですが、もともとは浄土宗霊厳寺とその塔頭、日蓮宗浄心寺とその塔頭など、多くの寺院がある寺町です。清澄庭園は江戸の豪商紀伊國屋文左衛門の屋敷と伝わり、明治になって岩崎弥太郎が買い取り、社員の憩いの場として整えたのだそうです。
その清澄庭園の北側に接するのが浄土宗本誓寺です。
春の本誓寺は、さまざまな表情を見せてくれるので、これまでにも紹介してきましたし、これ以外でもお参りしています。
ソメイヨシノの開花が観測史上最速だった今年、3月の末に本誓寺を訪れました。この日はあまりお天気がよくなかったんですね。それでも境内は満開の桜で埋め尽くされたようで華やかな気分になりました。
そして、10日ほど経った4月11日、そろそろ藤が咲き始めたのではないかと思い、行ってみると…。
門前の掲示板に、藤の開花を告げる貼紙が! そして門柱には、かわいらしい表示が!
本堂前で手を合わせてから藤棚の下へ行くと、もう紫の藤は五部咲きくらいでしょうか。本堂脇の藤棚の下にはスロープがあって、その上に立つと近くで花を愛でることができます。白藤もつぼみがふくらみ、ひとつ、ふたつ、開き始めたところでした。
藤棚の脇には季節に彩を添える木々が植えられています。もみじの新芽が鮮やか! さらに、その向こうには参道の桜の咲き残りが見えるではありませんか。新緑も相まって、目に麗しい春です。
本堂の向かい側の小祠には「石造迦楼羅立像(せきぞうかるらりゅうぞう)」が鎮座。
「「カルラ」はgaruda(ガルダ)の音写で、インド神話上の架空の大鳥、理想化された霊鳥である。」「大乗仏教では、仏法を守護する天龍八部衆(二十八部衆)の一つとされ、災害・疫病を除き、幸福を与えるといわれる。密教では、娑婆世界を主宰する梵天・大自在天の神々が衆生を救うために化身したものといい、また文殊菩薩の化身ともいう。」(本誓寺掲示より)
迦楼羅にもお参りし、本誓寺をあとにしました。すぐ近くの清澄公園の藤棚はまだまだ。桜もですが、本誓寺の花々は、毎年地域のものより、少しずつ早めに開花、見ごろを迎えるようです。