まち×さんぽ 〜札所や名物、季節など「てらまち」ならではをあるきませんか?〜

てらまちあるき初めは麻布から

2019.01.15

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平成31年元日は、麻布から六本木、南青山と、都心のお寺めぐりへ行ってきました。

このエリアでは、港七福神めぐりが楽しめます。5社2寺と神社が多めの七福神ですが、青山霊園このエリアは意外とお寺も多いエリアです。麻布十番の1番出口を出るとすぐ脇に港七福神の宝船、十番稲荷神社があり、さすが元旦、階段の下までお参りの列ができていました。

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さあ、麻布のお寺めぐりへ出かけましょう。まずは、佐賀藩ゆかりの曹洞宗賢崇寺。通りからはなかなかな坂道をのぼります。早速この辺りがアップダウンの多い地形であることを体感します。

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ふだんは本堂の扉は閉じられていますが、お正月ということで開扉され、ご本尊に直接お参りできました。境内には佐賀藩鍋島家の墓所のほか、二・二六事件の後、死刑となった将校らの墓碑もあります。

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通りに戻り、すぐ近くの港七福神の大法寺をめざします。沿道に坂道名が記された柱があり、この通りが大黒坂であることが知れました。脇道もまた七面坂と坂道で、どちらもお寺が由来の名前です。そう、大黒坂の由来は、通り沿いの大法寺です。

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大黒坂に沿って徳正寺があり、本堂前の親鸞聖人のお像によって浄土真宗のお寺であることがわかります。

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徳正寺からほんの50mほど西、大黒坂の北側に日蓮宗の大法寺がありました。大法寺も本堂は少し高い位置にあり、正面は数段の階段となっています。七福神めぐりの期間(元日~成人の日)は本堂の手前に尊像がお出ましです。本堂内ではお檀家さんでしょうか、ご家族連れらしき方々がご祈祷を受けていらっしゃいました。境内では甘酒のおふるまいがあって、色紙を携えた多くのご参拝のみなさんが、お坊さんとお話されたりして、和やかに過ごされていました。

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大法寺のちょっと先に、変則的な交差点が。そこにそそり立つのが「一本松」。なるほど、大法寺でも山号の前に「麻布一本松」とあったのは、このことだったのですね。松の根元に添えられた説明には「源経基などの伝説をもち、古来、植えつがれている」とあります。そのそばにあるお寺は浄土宗長傳寺。山号は「一本山」です。

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長傳寺の正面には有名な暗闇坂が伸びています。北斜面だからでしょうか、元日とはいえ冬晴れのたっぷり注いでいるはずの陽もあまり届かない薄暗い暗闇坂を下りました。坂の途中にはオーストリア大使館。大通りに出る手前で左折、住宅街をゆくと、ほどなく日蓮宗安全寺の門前です。参道入口の両脇はレストランとなっていて、蔦の絡まる建物が独特の雰囲気を作り出しています。本堂は参道の奥にあり、中からご祈祷の声が聞こえていました。

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安全寺山門

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安全寺本堂

この通りにも、安全寺のほか、広称寺、光隆寺とお寺が並びます。歩いているときは通り沿いばかり気にしていて気づきませんでしたが、すぐそばには龍澤寺もありました。

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広称寺

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光隆寺

最近お寺の多いところへ行くと起動するのが日蓮宗公式アプリの「合掌の証」。六本木ヒルズのすぐ脇にお寺があったな、と数年前の記憶をたどりつつ、アプリで確認すると、それとは違うお寺を発見。googleマップにしたがってあるいていくと、なんだか公園に入るような遊歩道。が、すぐ左に住宅……と思いきや、モダンなお堂が!六本木ヒルズとのコラボショットは圧巻です。本堂の正面が大きく開かれていたので、階段をあがってお参りしようとすると、若いお坊さんが中へどうぞとお声がけくださいました。妙経寺は六本木の市街地再開発事業に伴って移転したため、歴史ある寺院としては建物が新しいのだそうです。賽銭箱の前だけでなく、内陣まで入れていただき、ご本尊、お曼陀羅の説明をいただきました。

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六本木ヒルズのふもと、手前が妙経寺

妙経寺を辞し、アプリにしたがって六本木ヒルズの縁を移動、妙善寺へ。妙善寺は港七福神の寿老人・桜田神社のすぐ近く、ちょっと複雑な形のビルの奥に本堂があります。ビルの通り沿いはレストランなどが入居し、その間をくぐっていきます。本堂は寺院建築風になっていますが、ビルとつながっています。外周には水がまわり、背後には落水。六本木の真ん中なのに、空気感が違っています。

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アプリによると、塀の向こうもお寺。本樹山長幸寺も日蓮宗。初詣、お墓参りの方々が。

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続いては、六本木通りの北側、青山霊園方面へ。 西麻布交差点のすぐ脇、変則的な道を入っていくと、曹洞宗慈眼院の鐘楼門が目に入ります。慈眼院にはちょっとイケメンな青面金剛やレリーフの六地蔵など、個性的な石造物が散見。

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 鐘楼門の脇は曹洞宗大安寺の参道となっています。通り沿いのマンションの奥に、カラッと空間が広がっていました。境内に「笄稲荷→」という表示がありましたが、その方向へ行っても何もなく……。こちらの墓地は平屋の建物の中なので、その中なのかもしれません。ちなみに、「笄」は「こうがい」と読みます。笄稲荷は、近くにある「笄川」(現在は暗渠)のほとりに立っていたのかもしれませんね。

大安寺本堂

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大安寺本堂、お正月の装い

通りに戻り、西のほうへ歩いていくと、正面にお寺らしき建物が見えてきました。

20190101_麻布永平寺別院

曹洞宗大本山永平寺別院長谷寺です。実に多くの方々が参拝に訪れていました。

20190101_永平寺正月飾り

ちょうど観音堂では正月法要大般若が営まれていました。この十一面観音菩薩立像は高さ約10m、正徳6年(1716)に建立されましたが、戦災で焼失、その後20年かけて再建されたのだそうです。楠の一木造りだというのだからすごいですよね。その大きな十一面観音さまの前に大勢のお坊さんが居並び、お経を唱えながら経本をバラバラと広げては閉じる所作を繰り返す法要は、大変な迫力でした。今度は法要のないときにお参りして、じっくり拝観したいお像です。

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 今年の元旦は大都会東京のど真ん中、港区のお寺をめぐってみました。江戸時代、このあたりは江戸城のお濠際に譜代大名の屋敷があったエリアで、それに付随して武家の菩提寺や塔頭などが開かれたようです。麻布十番~六本木~南青山とおおまかな流れで歩き、付近のお寺を巡りましたが、このほかにもお寺や神社はたくさんあります。また違う季節に、違うルートで歩いてみたいです。