まち×さんぽ 〜札所や名物、季節など「てらまち」ならではをあるきませんか?〜

下総中山から本八幡へ、千葉街道に沿って歩く

2014.10.14

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てらまち

千葉県

市川といえば大黒屋。永井荷風が晩年住まい、毎日この店に通って菊正宗1合とかつ丼を頼んでいたとか。大黒屋さんはこれを「荷風セット」として提供しています。市川は戦災には遭わなかったため、戦後疎開の地として荷風のほか、幸田露伴なども東京から移り住んだそうです。今回の目当ては大黒屋さんではなく、駅ならもうひとつ先にある中山法華経寺です。まちあるきの大先輩・荷風も住んだ場所なら、きっと愉しいことがあるはず。

JR総武線の下総中山駅は秋葉原から30分弱、新宿からでも40分ほど。駅北口に出ると、ロータリーからは何本か道が出ているけれど、どれが参道につながるかはすぐにわかります。それを北へ進むと、道の先に山門らしき屋根が見えてくる。沿道は昭和の気配を感じる商店が立ち並び、落ち着いた雰囲気ながらも賑わいを感じさせます。京成中山駅を超え、「赤門」をくぐると、塔頭が並び、茶店の軒先に名物の「きぬかつぎ」がザルに盛られ、色づき始めた桜並木と相俟って、これは江戸の昔から変わりない風景なのではないかというような参道が続きます。

境内は広々。法華経寺は鎌倉時代にその前身となる持仏堂が建立され、それが「法華寺」「本妙寺」となり、さらにこの2寺が合体して法華経寺となったのは戦国時代の1545年以後のこと。法華堂は室町後期に再建されたもの、ひときわ目を惹く五重塔も江戸時代の元和8年(1622)の建立と、古い建物がよく残されています。法華経寺はまた、鬼子母神もよく知られているようで、この日も早めの七五三参りの家族連れもちらほら。

数々のお堂をゆっくりめぐって1時間ほども居たでしょうか。

法華経寺を後にして、西の方へ。JR総武線、京成本線ともに千葉街道に平行していますが、裏通りを歩いてみます。下総中山から法華経寺までの道のりもゆるやかな上りだったわけですが、裏通りもまたアップダウンや、カーブが多々あり、変化が楽しめます。また、この一帯は千葉街道に沿って森があったのでしょう、ところどころに藪の名残も。途中、菅野駅付近で道路工事に遭遇、その後千葉街道を歩いていると、「下総いちかわ ふれあい七社めぐり」の幟がちらほら。どうやら、街道沿いにある神社をめぐるスタンプラリーのようです。なるほど、こういうのを手がかりに歩くのも手でしたね。

本八幡は総武線、京成線に加えて都営新宿線も乗り入れていて、駅のまわりはかなりの賑わいです。この日のお昼は当初本八幡付近を想定していたのですが、中山法華経寺をずいぶんとゆっくり愉しんだこともあり、すでにランチタイムは終わり近く。土曜日の14時ごろというのはランチには遅く、一杯やるには早い時間。結局、市川まで歩いて通し営業の中華料理屋をこの日のゴールとしました。

4時間くらいでトータル7.5kmほど。秋になり、汗をかかずに快適に歩けるようになりました。法華経寺でも、11月には酉の市や御会式など、多くの行事が予定されています。お寺もまちも愉しめる下総中山、おすすめです。

 

 

北口ロータリーを出ると、「さあ、どうぞお参りください!」とウェルカム感たっぷり!

 

沿道には年季の入った看板もありますが、それはそれで味わい深い。

黒門をくぐると、いよいよ参道の雰囲気が濃くなります。

ふと参道の横道を見ると、奥に銭湯が。現役のようです。

赤門をくぐると、桜並木の参道。ちょうど色づき始めで緑と黄のコントラストが可愛らしかった。

中山法華経寺の名物は「きぬかつぎ」。子沢山を願っての縁起かつぎかな?

享保4年(1719)造立の釈迦如来坐像と元和8年(1622)建立の五重塔。

不知森神社。背後の森は「八幡の森知らず」として恐れられているとかいないとか・・・。