埼玉の春日部にあるお寺で、7体もの円空仏が一挙に公開されるとの情報を入手。GWの3日間、本堂で拝することができるということで、電車でGo。
北千住で乗り換えたのが、東武線の快速会津田島行き!目指すお寺は北春日部が近いのですが、快速は止まらないし、春日部のまちも歩いてみたいので、春日部駅で下車しました。
なんの前情報もなく、事前の下調べもせずに降り立った春日部、どことなく風情を感じるまちなみです。歩いていて目に付くのが、「粕壁」の表記です。なるほど、日光道中・奥州道中の宿場町だったのですね。粕壁宿は江戸日本橋から数えて4番目。日光道中の道標も残されています。
円空仏の特別拝観のお寺、小淵山観音院さんへは、旧街道に平行する大落古利根川を渡るのですが、その川の手前に「寺町」があるようなので、そのまま歩いてみます。
「寺町」 は通称のようです。普門院、最勝院、成就院、妙楽院などが並びます。
寺町をあとにし、北へ向かいます。大落古利根川を渡りしばらく北上すると、道標がありました。
さらに北上し、国道16号を超えるとほどなく、円空仏祭が開かれている観音院へ到着。やはり車で来場される方が多いのでしょう、お寺の近くになって急に人が増えました。仁王門手前の受付で寄付、案内のチラシなどをいただいて境内へ。
なにはともあれ、本堂のご本尊へお詣りをと思ったら、内陣の御本尊・御前立本尊の手前、外陣に7躯の円空仏が安置されていました。ここ観音院は修験道本山派という宗派の神仏習合のお寺で、そのため、お詣りにも「二拍手」するという説明書きがあります。まずお詣りし、堂内へ上がると、ちょうどボランティアの方の説明が始まったところでした。この円空仏祭、春日部市民のボランティアの方々の働きかけで始まり、毎年の運営もボランティアさんによるものなのだそうです。観音院さんは檀家を持たないお寺のため、運営にあたっては、参詣者などからの寄付によるところこが大きいようです。ボランティアさんたちが仰っていたのは、大切な寺宝、文化財を傷つけたりしないことはもちろんのこと、より多くの方に見にきてもらって、来年も再来年も、その先もこの拝観が続けていきたいということでした。
修験道本山派について、ご本尊の正観音のご開帳が丙午の年だけであること、岐阜、愛知に次いで埼玉には円空仏が多いこと、円空が日光へ詣でた記録がありその往来の際にこの近隣に滞在したのではないかということ、また、廃仏毀釈と修験道禁止令と残された円空仏との関係等、わかりやすいご説明がありました。また、特別拝観ということで、正面から間近に拝見することができたうえ、側面から裏側も見せていただきました。
聖観音立像(像高195.5cm)、毘沙門天立像(133.0)、不動明王立像(130.7)の大きな3躯と、像高30~40cm前後の護法大善神像、徳夜叉明神像、役行者椅像、蔵王権現立像の4躯、あわせて7躯。聖観音立像などは、丁寧な仕上がりから円空晩年の作ではないかと言われているそうです。よく見る役行者は痩せ細り厳しい表情のものが多いですが、この円空像はふっくらとして、かつ、にこやか。また、蔵王権現は現在確認されている円空仏としては唯一。全体のフォルムがS字のような感じで躍動的です。
円空仏の特別拝観のあとは、境内の円空カフェでひといき。目に焼き付けた円空さんのやわらかい表情を思い出しながら、冷たいコーヒーをいただきました。
今回はたまたまフェイスブックでこの特別拝観があることを知りましたが、来年もまた所有のお寺で円空さんにお目にかかれる機会をいただけるといいなと思いました。
ところで、今回は特別拝観ということで本堂内外陣に7躯がずらりと勢ぞろいでしたが、かつてはどのように安置されていたのでしょうね。そんなことを想像しながら、観音院さんをあとにしました。
円空仏祭はまた来年 小淵山観音院円空仏祭Facebookページ https://www.facebook.com/enkubutsusai/