仏教アレコレ 〜身近なのに意外と知らない仏教についてまなびましょう〜

除夜の鐘と初詣さんぽ

2014.12.09

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東京

季節

テレビからは「今年も残すところ・・・」という言葉が頻繁に聞こえ始め、街はイルミネーションでクリスマス色に彩られ、急かされているのか浮き足立っているのかよくわからない日々です。旧暦12月は「師走」、その語源には諸説あるようで、「師」はお坊さんだという説もよく聞きます。ふだんは落ち着いて走ったりしないお坊さんですら走るほど忙しない、それが年の瀬だということのようです。

12月に入ってからてらまちさんぽをしていると、「除夜の鐘」を知らせる掲示が目に付きます。「除夜の鐘、撞きますよ」とか、「除夜の鐘、撞きにきませんか」といった内容が記されています。大晦日の夜、こたつに入ってテレビを見ていると、近くのお寺から「ゴーン」と聞こえてくる。NHKの「行く年くる年」も、たいていは除夜の鐘から始まります。残響、余韻をじんわりと味わっているうちに0時。世間は途端に賑やかしくなります。テレビでは新年を祝う歌が流れ、インターネットは回線がパンクするほどメールが行き交います。厳かに響いていた鐘の音はかき消され、いつの間にか百八つは撞き終わっているのです。

「除夜」で取り除かれるのは古い年。大晦日は「除日」とも言い、その夜だから「除夜」。太陰暦だった頃は、お正月にみんな一緒に年を取りました。「数え」です。除夜の鐘は、新たに年を重ねるため、百八つの煩悩―この一年のあれこれをリセットしていく合図なのでしょう。

お寺によっては、鐘を撞かせてくれるところもあります。事前申し込みが必要だったり、11時ごろから並んだりと、参加方法はさまざま。鐘を撞いた人に甘酒をふるまったり、縁起物を配付するところもあるようです。谷中や雑司が谷、巣鴨といった寺町なら、あちこちから聞こえてくる鐘の音を聞きながら、大晦日の静かなまちを歩いてみても。運がよければ、1夜で数件のお寺で鐘撞きができるかもしれません。年を越したら、そのまま初詣をしてみても。

ふだんは落ち着きを保っているお寺やてらまちも、大晦日から新年にかけては別の姿が見られるはずです。大晦日から元旦にかけては、電車も終夜運転や臨時列車の運行もあります。近所のお寺でも、少し足を延ばしてお出かけになるような場所にあるお寺でも、ちょっと下調べして、除夜の鐘&初詣のてらまちさんぽを愉しんでみてはいかがでしょうか。

るるぶ.com「東京都の除夜の鐘スポット

 

小石川の伝通院にも「除夜の鐘」を知らせる貼紙がありました。

小石川善仁寺の梵鐘。人間国宝香取正彦氏(香取秀真の子)の作。

早稲田にある寶泉寺の梵鐘。正徳元年(1711)鋳造。太平洋戦争の供出を免れた江戸期の梵鐘は貴重。

世田谷豪徳寺の梵鐘。世田谷区内で現存最古の延宝7年(1679)鋳造でこれも貴重なもの。