【道具学会】という研究団体があります。
サイトの設立趣意の冒頭には、以下のように述べられています。
- 設立趣旨|人間は肉体の能力を強化し、精神を高め、感性を深め、五感の機微を楽しむために、さまざまな人工物をつくり出してきました。石包丁から旋盤まで、土器から自動炊飯器まで、履き物から自動車まで、笈竹からコンピュータまで、メガフォンからインターネットまで。これらをひっくるめて、より人間的なる生活の道に具える多様な人工物を「道具」と総称することにしましょう。 人間のつくり出した道具のありようをつぶさに見すえることによって、これからの人間一生活一道具のあり方を考えていくこと、これを「道具学」といいましょう。
また、「道具学」については、「人類は、道具と言語という二つの大きな発明をもとに、進展を遂げてきました。言語の方には言語学が確立しているのに対し、道具の方に道具学が確立していないのは、大きな欠落といってよいでしょう」と述べられています。たしかに、大学の国文学系学科の授業には「言語学」「国語学」があります。個別の道具について研究するメーカーや研究機関はあるでしょうが、道具を全体として括り、研究する「道具学」というのは聞いたことがありませんでした。
その「道具学会」はふだん、研究会を開いたり、工房や工場等の見学ツアーを行ったりとかなり活発な活動を展開されています。その様子はフェイスブックでちらちらと拝見し、楽しそうだな、と思っていました。
この道具学会の年に一度の研究発表フォーラムが、今年はなんと!お寺を会場として開催されます。フォーラムのメイン会場は北鎌倉 浄智寺 書院。1月21日(土)・22日(日)の2日間、お寺と鎌倉のまちを舞台に開かれます。
私たちの身の回りにある「モノ」はほとんどが道具です。それはお寺も同様。お寺だけでしか使われない道具もあれば、お寺発祥で一般家庭に広まった道具もあるでしょう。業界やジャンルの異なる道具事情を知れば、自分がふだん何気なく、特に強く意識することもなく使っている道具も、また違って見えてくるかもしれません。
これは横須賀にあるとあるお寺の本堂。燭台、常花、「りん」などの鳴り物、椅子、その他、写っているものはほとんど道具です。家に仏壇がある方は、それを見ていただければ、同様に道具がいろいろと並んでいるでしょう。
道具学会のフォーラムの内容は、特設サイトにくわしく載っています。
概要部分を抜粋すると・・・。
- 古都鎌倉の寺院を舞台に、古いものから新しいものまで、私たちの身近な「道具」という切り口でとらえる道具学会の研究発表大会です。予定されている発表内容は、アフリカの太鼓や和錠(江戸時代の錠前)からスマートフォンゲームやロボットに関する研究、90年前の英国製バイクを再現したミニチュア展示など、多岐に渡るものです。
プログラムを見ると、1日目の夜は あ の 「鉢の木」での懇親会、2日目午前の発表のあと、浄智寺朝比奈恵温住職による境内案内、午後は鎌倉市内でのエクスカーションと、鎌倉での開催だからこその内容となっています。
鎌倉のお寺で道具について考える2日間、ご興味のある方は、フォーラム特設サイトからお申込みを。