テクノ法要を体験したのは昨年、築地本願寺の本堂でのことでした。噂のテクノ法要が東京で!と興奮気味に参列しました。
そしてつい先日、東京国立博物館で開催中の「特別展 大報恩寺展 快慶・定慶のみほとけ」で、テクノ法要があるという情報が飛び込んできました。おや?大報恩寺は真言宗、テクノ法要の朝倉師は浄土真宗のはず。宗派を超えてのコラボですね!とはいえ、同じ仏教でありながら、宗派によって読む・お唱えするお経は宗派によって異なります。さあ、どういうことなのでしょうか?
テクノ法要の前に、この展覧会のスゴイところをご紹介。
まずは、秘仏である本尊・釈迦如来坐像がお出ましであること!最近の仏像関連の展覧会はケースなしのケースが増えてきました(駄洒落ってしまった)。今回も、一部を除いてはガラス越しではなく、直接間近に拝見することができます。アンダーな灯りの中ですが、ガラスの反射によるストレスがありません。展示は空間をゆったりと使った配置で、さまざまな角度から、自分の好みでお像を拝見できます。
さらに、ずらり居並ぶ快慶作の十大弟子像、定慶作の六観音菩薩像、これらも背後まで360度ぐるりと、直接拝見できます。六観音菩薩はそれぞれ光背も少し後ろに展示されているので、お像の背面はもちろん、光背そのものも間近で拝見できます。
↑この画像のいちばん手前の聖観音のみ、撮影可能となっています。
さて、今回は11月6日の「テクノ法要」に向けたプレスレビューで入館したわけですが、30分ほどのテクノ法要のあと、朝倉住職と菊入住職のトークがありました。
今回のテクノ法要は、壁面と天井とに映像が投影される舞台で、朝倉住職が作った電子音源に合わせて真言宗智山派の僧侶7名が読経するというものでした。お唱えされたのは「陀羅尼」「般若理趣経」「南無大師遍照金剛」の3経。菊入住職の読経を録音し、それをもとに朝倉住職が音源を制作、映像はテクノ法要のチームが作ったそうです。普通、30分もお経を読まれたら飽きてしまうでしょう。しかし、テクノ法要はこうした複合的な要素もあってか、あっという間。テクノ音源は甲高いノイジーなものではなく、読経の声と一体となった音は温かみすら感じます。音楽に不向きであろう長方形の講堂ですが、舞台から音と光が発せられているようでした。
菊入住職は今回の企画について「日本人の心は仏教に根差す部分が大きく、テクノ法要はそのことをより多くの方に知ってもらう方法のひとつ」であり、「仏教各宗派は宗祖の教えに依っているが、その元はお釈迦さまの心理の教えを伝えるためであり、浄土真宗と真言宗とがコラボすることは、根本に戻るもの」と意義づけられていました。
今回用いられた3つのお経は浄土真宗ではおつとめしないそうで、「お経は基本的に口伝されていくもので、それを数値化するのはまず無理。今回は強引に編集した」といいます。
今回てら×まち×さんぽが拝見したテクノ法要は、30分のショートバージョン。30分だけでこんなに高揚した「大報恩寺×テクノ法要」、来週11月6日への期待が膨らみますね。
特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」
〈会期:12月9日(日)休館日:月曜日 会場:東京国立博物館 平成館第3・4室〉
11月6日(火)15:00~16:00 大報恩寺展 ×「テクノ法要」
先着順、ただし入場には展覧会のチケットが必要です。
特別展 京都大法音寺快慶・定慶のみほとけ オフィシャルサイト https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/