鴨川五条大橋の東側、建仁寺の南にある六道の辻。その近くの六道珍皇寺にある鐘は、冥土にまでとどくとか。この付近は平安京の鳥辺野に向かう道筋で、野辺の送りが行われていた土地。つまり、「この世」から「あの世」へと、死者と分かれる場所でした…と記すと、何やらおどろおどろしい雰囲気を想像してしまうかもしれませんが、そんな雰囲気はまるで感じられませんでした。むしろ静かで穏やかな住宅地。六道珍皇寺の「平安の銘鐘」は、お堂の中に納められ、その姿は見られません。しかし、いつでも撞いて、冥土へその音を届けることができます。しかも、その仕組みがユニーク。お堂のヘソのように見えるのは、引き綱。これをスルスルと引っ張り出してから一撞きし、また引き綱をお堂に納めるのです。音色はお寺の気配と同様、柔らかで余韻が深く長く残りました。8月の六道まいりの際には、この引き綱は出しっぱなしなのではないでしょうか。
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