中央区スポーツセンターのある日本橋浜町公園の一角に、清正公寺があります。お堂を包む緑は、公園のものか、お寺の境内なのか。色づき始めた木々の秋を感じながらお詣りをしていると、3歳くらいの女の子が、ひとりで階段を上がってきました。少し離れたところからおじいちゃんらしき方がこちらを眺めています。女の子が鰐口を叩こうと、鈴緒に手を伸ばしますが届きません。おじいちゃんがこちらに来る気配はないので、抱き上げて鈴緒をつかませました。小さな手で鈴緒を振るのですが、撞木が大きめで軽いものなのでなかなか鳴らすことができません。私も手助けしてようやくひとつ鳴らしたその音は、「ぽーん」と丸い優しい音色でした。女の子はちいさな手を合わせ、それから一段一段、階段をおり、おじいちゃんのもとへ。「ありがとうしなさい」とおじいちゃんに促され、振り向きながら恥ずかしそうに手を振ってくれました。
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