2月、受験シーズン真っ只中。受験生を抱えた知り合いから、「ご利益あるのはどこ?」「湯島天神はマストなの?」などと聞かれます。年明けからこっち、納められた絵馬には「大学合格」「受験必勝」といったものが目立つような気がします。受験生本人は「人事を尽して天命を待つ」なんて言葉は耳にタコができるくらい聞かされているはず。そして、親御さんたちの神仏にもすがる思いはひしひしと。
そんな大学受験を迎えた娘さんを抱えた知り合いから、「E判定の山々をのりきる縦走するための心の御守がほしい」との叫びが届き、センター試験が行われていた1月中旬の土曜日、息子さんの大学受験を一昨年に終えた友人と、ご祈願ツアーを催行。この友人は、息子さんの受験は推薦だったので、ほとんどお詣りには行かなかったけれど、地元の神社には祈願と合格御礼には行ったのだとか。
14:00 神楽坂善國寺|日蓮宗 鎮護山善国寺
神楽坂の毘沙門さま、善國寺に集合。受験する娘さんが寅年生まれだということでその守りである毘沙門天の善國寺をスタートにしました。毘沙門天は戦いの神でもあるので、受験戦争に打ち勝て!という意味も込めて。この毘沙門天は通年で御朱印をいただける新宿山ノ手七福神のひとつ。1月半ばのこの日はお正月気分で七福神めぐりをされている方も見受けられました。
学業成就の御守をいただいて、神楽坂駅へ。東西線に乗り、早稲田駅で下車。一陽来復守を求める人々で賑わう穴八幡神社の交差点から早稲田大学キャンパス方面へ向かいます。
14:45 早稲田寶泉寺|天台宗 禅英山了心院寶泉寺
早稲田大学の広いキャンパスは、もとはこのお寺の境内だったとか。歴史も古く、創建は西暦810年頃とも、承平年間(931-938年)ともいわれるそうです。名門早稲田大学のそばにあるお寺ということで、早稲田中学、大学への合格祈願に訪れる人も多く、特別祈願もされています。こちらで頒布されている御守は臙脂色に白抜きの「W」が入ったもの。早稲田受験にはバッチリですね。ちなみに、知人の娘さんは早稲田は受験しません。
続いては都電荒川線の始発早稲田駅から、鬼子母神前駅へ。穏やかなケヤキ並木を抜けて、鬼子母神堂へ向かいます。
15:15 雑司が谷鬼子母神堂|日蓮宗法明寺境外堂
鬼子母神はかつて子どもを喰らう鬼女でしたが、お釈迦さまの導きにより改心し、安産・子育ての神となりました。表記としては角(ノ)のない鬼の字を用います。子どもを守る神さまということで、入学祈願・学業成就のご祈願・御守があります。境内はまだお正月気分が残り、小さな子供と一緒の家族連れも多く見かけました。写真は正面破風の上で梁を支える邪鬼。しっかり子どもたちをお守りくださいとお詣りしました。
雑司が谷さんぽもそこそこに、次へ向かいます。池袋駅から山手線に乗り、新大久保で下車。エスニックタウンに下り立ちます。
「みなあたる」ということで、富くじをお求めになる方やお馬さん競走が大好きな方に人気の神社です。この社名は、江戸幕府の鉄砲百人隊の隊員の夢枕に稲荷大明神が立ち、その翌朝から百発百中となったことに由来しています。ちょっと欲張りな気もしますが、受験した学校にみな当たりますように! みんな合格できますように! と祈願して、合格守をいただきました。
宝くじ入れの袋とお守りをセットで求める人々の群れをあとにし、大久保駅から総武線に乗り、中野駅へ。中野通りを北へ1kmほどで新井天神へ到着。
16:50 新井天神北野神社
御祭神は学業の神さま・菅原道真公。湯島や亀戸の天神さんはつとに有名ですし、ご利益アリ! という声も多く聞きます。今回我々がご祈願ツアーをするきっかけとなった知人ご家族は、23区西部にお住まい。志望校のひとつは中央線沿線だといいます。お願いするなら、より地元に近いほうがいいのではないかと考え、ツアーのゴールをここにしたのです。
社務所は16時半までだったようで、本殿にお詣りし、なで牛をなで、ご祈願ツアーを完了としました。
境内には、梅の香が充満。境内の一角にある新井地区の区画整理記念碑の傍らにある満開の梅の木からでした。
駆け足ではありましたが、地下鉄、都電、山手線、総武線と、複数の乗り物を利用しながら、神楽坂から雑司が谷、新大久保、中野と、それぞれに味わいのある街を素通りしました。もう少しゆとりをもって、街を楽しめるといいな。ちなみに、すべてを徒歩でまわると約10kmほどの行程となるようなので、1日かければまた別の楽しみ方ができそうです。あ、いえ、楽しみではなく、今回は真剣な合格祈願でしたよ! いただいた御守は、数日後に受験生の母へ手渡されました。
2月に入り、本試験が始まりました。がんばれ、受験生! そして、ご家族の皆さんにも心安らかな日が訪れますように。