仏教アレコレ 〜身近なのに意外と知らない仏教についてまなびましょう〜

キリスト教と仏教、チェロと尺八

2016.11.05

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改宗

築地本願寺

銀座

築地本願寺が今年の春に開設したサテライトテンプル「GINZA SALON」。お坊さんと直接対話する「よろず僧談」と、ヨガなどの体験や仏教に基づきながらも多彩なテーマによる講義が展開される「こころアカデミー」が開かれています。築地本願寺は銀座からもさほど遠くはない築地にありながらも、さらに利便性の高い有楽町から徒歩5分程度のところにサロンを開き、浄土真宗に限らず、浄土宗、日蓮宗など、ほかの宗派の僧侶も講師に迎えるという画期的な取り組みに、注目が集まりました。「寺の新たな姿 模索の動き」として、NHKの朝のニュースでも特集されていました。開設から数ヶ月は無料でしたが、9月からは有料となりました(一部無料のものあり)。それでも毎回盛況のようです。

昨夜11月4日金曜日の夜は「クローズアップDHARMA」シリーズの第三弾で、ドイツ人チェリストのアーミン・ローベック(Armin Lohbech)さんの改宗のお話と尺八演奏を拝聴。

まずは、アーミンさんの音楽の専門学校を経営していたご両親のことから順を追って、生い立ち、来日の経緯などを、南條了瑛師が聞き手となって引き出します。アジアへの興味、キリスト教との関わり、日本の仏教との出会い、そして僧侶となることを目指しての来日など、大変興味深い内容を、丁寧で流暢な日本語で話されていました。子どもの頃中国へ行きたいと自転車を漕いで出かけたものの45分くらいで帰ってきてしまったという話では会場を笑わせてくださいましたが、自己を求め、信仰を求めて足掻くその後の波瀾万丈な人生の最初のエピソードだったのかなと受け止めました。

20161104_銀座1

南條了瑛師とアーミンさん

後半は、アーミンさんの尺八と、若いバイオリン僧侶とのデュオでの演奏。曲は、バッハの2つのバイオリンのための協奏曲から第2楽章。尺八の音色は、虚無僧が鳴らすような枯れた厳しい雰囲気ではなく、素朴な柔らかさを保ちつつ、洗練を感じさせるものでした。

20161104_尺八バイオリン

プロのチェロ奏者ながら、琴古流尺八師範のアーミンさん

最後は、受講者からの質問にお答えいただくコーナー。「好きなお経は何か」「ドイツの若者の信仰心は」「仏教徒にカンタータは演奏できるか」「なぜチェリストになったのか」「浄土真宗に改宗してどう感じているか」等々、さまざまな質問が挙げられ、アーミンさんがひとつひとつ真剣にお答えくださいました。

20161104_アーミンさん

ドイツの音楽大学在籍中に、ほかの日本語学校の集中講義で日本語を学んだのだとか

もとはキリスト教徒で、真言宗から仏教に入り、紆余曲折を経て浄土真宗に帰依されたアーミンさん。キリスト教と仏教、密教系・禅系・浄土系をそれぞれ俯瞰して自分には浄土真宗がフィットすると、何十年もかけてたどりついたわけですが、それはさらりと2時間ほどで語れるものではないでしょう。

サロンが開設されていくつかの講座を聴講しました。仏像から仏教の歴史を繙くもの、鎌倉のお寺めぐりから鎌倉仏教の流れを説明するもの、宗派によるさまざまな相違からブッダの教えに迫るものなど、いずれも満足度の高い内容です。音楽家のキリスト教からの改宗というある意味比較文化論的要素も含む今回の講座は、どこの宗派・宗門に属したり帰依したりしていない我々のような一般人にとっては大変興味深く、核心に触れるものだったと思います。お寺や仏教に親しんでもらいたいという「GINZA SALON」の可能性は、こうした変化球にこそあるのかもしれません。